キャリアコンサルティングって、何?

とあるキャリアコンサルタントから聞いた話。

学科試験対策② ホランドの六角形モデル

 学科試験の過去問に取り組む中で、頻出だったのがホランドの理論である。
 ホランドの理論は、まずフロイト精神分析に基づく精神力動論にある。その古典的な理論を踏まえておくと、まず人間を動かすのは意識的な自我ではなく無意識であるとする。そしてその力は多くの場合に性的なエネルギーである。人間の行動は無意識のエネルギーと意識的な超自我との力関係として捉えることができ、その力関係のパターンは幼児期の親子関係の中で決定する。

 ホランドの理論は、職業選択やキャリア発達の要因として、個人の行動スタイルや人格類型に着目する人格類型論の流れをくむ。人間は個人的特性と人的・文化的・物理的環境との相互作用の結果として出来上がるものであり、人間は社会的・環境的課題に取り組む独自の方法を身につけるというのである。
 そしてホランドは、個人と環境をそれぞれ6つの類型に分け、その類型が同一であることによって、調和的相互作用がより安定した職業選択をもたらすとした。
 その6つの類型とは、現実的(Realistic)、研究的(Investigative)、芸術的(Artistic)、社会的(Social)、企業的(Enterprising)、慣習的(Conventional)であり、個人のパーソナリティは本人がこれらの領域のどの分野に興味を持つかによって類型化される。
 この6つの領域を六角形の各頂点に当てはめ、図式化したものを「ホランドの六角形モデル」と呼ぶ。そして、近接した頂点の領域は似ていて、対角上に位置する領域はかけ離れた領域であることを示す。例えば、現実的領域は研究的領域と慣習的領域と似ており、社会的領域と最もかけ離れている。
 ただし、ホランドは本人の興味を1つの分野に限定して捉えるのではなく、より興味の強い上位3つの分野で表した。これをホランドは「スリーレターコード」と呼んだ。
 職業もまた、これら6つの類型に分類することができ、本人の興味と職業の領域が一致したところに、安定した職業選択ができるとしたのである。

 各領域について、簡単に説明しておく。
 現実的興味領域とは、機械や物体を対象とする具体的で実践的な仕事や活動の領域を示す。職種としてはエンジニアなど。
 研究的興味領域とは、研究や調査のような研究的、探索的な仕事や活動の領域を示す。職種としては数学者・医者・プログラマーなど。
 芸術的興味領域とは、音楽・芸術・文学等を対象とするような仕事や活動の領域を示す。職種としては画家・音楽家・デザイナーなど。
 社会的興味領域とは、人と接したり、人に奉仕したりする仕事や活動の領域を示す。職種としては教師・保育・カウンセラーなど。
 企業的興味領域とは、企画・立案したり、組織の運営や経営等の仕事や活動の領域を示す。職種としては管理職・人事・営業など。
 慣習的興味領域とは、定まった方式や規則、慣習を重視したり、それに従って行うような仕事や活動の領域を示す。職種としては秘書・経理など。

 また、ホランドが開発したテストにVPI(Vocational Preference Inventory)がある。
 日本語版はこのVPIの1978年版を元に作成され、VPI職業興味検査として公表された。その名のとおり、適職を診断するテストではなく、興味傾向を明確にするためのテストである。
 対象は大学生、短大生を主たる年齢対象とし、社会人に対しても実施することは可能である。ただし、社会人に対して実施する場合は、年齢・教育水準・職業経歴等を考慮して結果の解釈を行なう。中学生や高校生に対しては実施できない。
 検査の内容は、160の具体的職業に対する興味・関心の有無を回答していくものである。このため、具体的職業に対する知識が十分ではない中学生や高校生に対しては実施できないし、社会人に対しては経験のある職業とそうでない職業に対する知識や興味のムラに配慮して解釈する必要があるということである。
 回答にあたっては、直感で解答していくことが重要となる。このテストはあくまで興味・関心を明確にするためのものであり、適職つまり向き不向きを診断するものではない。できるかできないかは別として、直感でやってみたいかそうでないかを答えることにより、自分の興味分野がより明確になりやすい。
 回答に制限時間はないが、平均的な所要時間は約20分程度と言われている。回答後は受検者が自分で採点をすることもできる。採点は約5分程度でできるよう工夫されている。
 結果は、6つの職業興味領域に対する興味・関心の強さの傾向のほか、5つの傾向尺度で示される。
 5つの傾向尺度とは、自己統制尺度・男性女性傾向尺度・地位志向尺度・稀有反応尺度・黙従反応尺度である。
 つまり、この検査結果からは単に職業興味傾向が明確になるだけでなく、ある程度の性格傾向まで判定できる心理テストでもある。したがって、検査結果については受検者のデリケートな深層心理まで明らかにしたごく個人的な情報として、慎重かつ厳重に取り扱うべきことは言うまでもない。