キャリアコンサルティングって、何?

とあるキャリアコンサルタントから聞いた話。

キャリアコンサルタントの4つのレベル

 私がA氏の紹介でS氏本人に会う前に聞いたのはここまでだった。A氏は自身のキャリアコンサルティングのひとつの成功事例としてS氏との面談を挙げ、そして新たにキャリアコンサルタントを目指す人としてS氏を紹介してくれたのだった。
 私はA氏のキャリアコンサルティングとその解説により、事例に即してキャリアコンサルティングの手法を目の当たりにすることができた。
 今後はS氏への取材を通じて、資格取得によるキャリアコンサルタントへの道のりを明らかにする。

 S氏の事例に触れる前に、キャリアコンサルタントの資格とレベルについて概略をまとめておく。
 キャリアコンサルタントには4つのレベルがある。

 最初は導入レベルである。
 このレベルには、一定の職業経験があり、キャリアコンサルティングに関する基礎的な知識を持っている人事部門の人や、都道府県の職業能力開発協会や雇用・能力開発機構などが実施するキャリアコンサルティングの講習・研修を受けた一般の管理職の人などが該当する。
 個人が自分のキャリアを主体的に開発・形成していくためには、まず自己理解が基本になる。仕事上の目標設定やその実行を支援することにより、自己理解を促進していくのが導入レベルのキャリアコンサルタントに求められる役割である。
 同時に、専門的な支援を必要とする人や、長期的なキャリア発達の視点に立った中長期的なキャリアプランを必要としている人に対しては、そのような支援ができる専門家に導くことが求められる。これは自分の能力を超えた活動を行わないというキャリアコンサルタントの職業倫理であり、全てのレベルのキャリアコンサルタントに求められるスタンスである。
 キャリア開発やキャリア形成は、個人が自ら主導して行うべきことであり、特定のキャリアコンサルタントが専属的・支配的にそれらを支援することは、求められていないのである。

 2番目は標準レベルである。
 標準レベルのキャリアコンサルタントには、キャリア発達の視点に立ち、相談者の生活設計(ライフプラン)と関連付けながら現在の職業選択を援助したり、中長期的な目標を設定し、その実行を支援・援助したりする機能が求められる。
 標準レベルのキャリアコンサルタントの資格は、S氏がA氏の元を相談に訪れ、S氏自身もキャリアコンサルタントを志すことを決めた2014年~2015年当時は、一定の職業経験があり、厚生労働省が認定したいくつかのキャリアコンサルタント能力評価試験に合格した人が該当した。例えば、社団法人日本産業カウンセラー協会が実施していたキャリア・コンサルタント試験などである。
 しかし、2016年4月には、標準レベルのキャリアコンサルタントの資格である国家資格が創設され、その有資格者が該当することとなった。

 3番目は熟練レベルである。
 A氏が所持するキャリアコンサルティング技能士2級の資格は、この熟練レベルのキャリアコンサルタントの技能を判定する資格である。一定の職業経験及び十分なキャリアコンサルティングの経験があり、経験の浅いキャリアコンサルタントの模範となり、適切な助言ができるだけの資質を有している人が該当する。
 役割としては、キャリア開発・形成を支援する専門家としての主体性を探求しているとともに、専門家としての倫理観を持ち、キャリアコンサルタントとして活動できる役割と能力の範囲を十分に認識していることが求められる。
 さらに、キャリアコンサルティング活動を推進するために、自ら前向きに動機づけて活動する必要がある。

 最後は指導レベルである。
 指導レベルのキャリアコンサルタントの技能を判定する資格に、キャリアコンサルティング技能士1級がある。十分な職業経験及び豊富なキャリアコンサルティングの経験と知識をもとに、標準レベルのキャリアコンサルタントに対して効果的なキャリアコンサルティングの指導ができる資質と専門性を有している人が該当する。
 標準レベルのキャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを効果的に行うためには、他の専門機関とのネットワークを持ちながら、自身の資質の向上を図ることが必要となるが、その資質の向上のためにはより上級の専門家による指導を受けることが必要である。
 その上級の専門家による指導がスーパービジョンである。
 ここでのスーパービジョンとは、標準レベルのキャリアコンサルタントの養成講座の講師などではなく、標準レベルのキャリアコンサルタントがその機能を十分に発揮できるよう、標準レベルのコンサルタントに対して行う指導のことであり、それを行なうのが指導レベルのキャリアコンサルタントである。
 指導レベルのキャリアコンサルタントは、自らもスーパービジョンを受けた経験を有することが望ましい。